薄型テレビ(うすがたテレビ、Flat Panel TV)とはテレビ受像機の1種類であり、一般的にはフラットパネル・ディスプレイを使ったテレビの事である。
薄型のものが現れる以前のテレビはほとんどがブラウン管式だったが、ブラウン管で大きな画面のTVを作ると奥行きと共に重さも重くなった。当初はそれ程大きな画面が製造できなかった「薄型テレビ」も、薄く軽いといった生来の長所を活かし大画面化向きとなり、TVメーカー各社が更なる画面サイズの拡大・低価格化に取り組んだ結果、画像圧縮・伸張を使ってるSDTV画像ソース(DVDなど)を除いてはブラウン管式TVと置き換えられるだけの性能と価格を備えるものが作られるようになった。 日本では2003年からの地上デジタル放送の開始によるTVの買い替えに合わせて一般家庭、事業所、公共施設、各種交通車両等で普及が進んでいる。薄型テレビとデジタルカメラ、DVDレコーダーとを合わせて「デジタル家電」「デジタル三種の神器」と呼ばれる。 日本国内では2003年からの薄型テレビの主流は「液晶テレビ」と「プラズマテレビ」である。これらは表示原理が全く異なり液晶テレビは数インチの小画面から最大108インチ程の大画面までであり、プラズマテレビは32から150インチの大画面だけが製品となっている。米州大陸を中心にリアプロジェクションテレビのような投影型の大型TVもある程度人気があり販売されているが、世界的に見れば少数派である。 2009年末現在は液晶、プラズマ、リアプロジェクションの次の薄型テレビ用技術としてLED、有機ELや無機EL、FEDなどの研究開発が進められている。
総務省の統計では、2007年に薄型テレビの世帯普及率が約20%[1]、2008年には3分の1以上に達した[2]。 薄型テレビの普及の課題は上でも述べたブラウン管テレビより高い価格のほか元々テレビは買い替えサイクルが長い製品のため古いテレビを使い続ける消費者が多いこと、またワンセグ対応携帯電話などの普及により据え置き型テレビを必要としない人が増えていることが挙げられる。その他の状況はテレビ離れや2011年問題の項目も参照。
多くの製品は地上アナログチューナー及び地上デジタル/BS/110度CSのデジタル3波チューナーを内蔵しているが、デジタルチューナーはコストが高いため低価格機では地上アナログチューナーのみの場合がある。またデジタル対応テレビでも、低価格帯ではコストダウンのためBS/110度CSチューナーを省略した製品がある。一方で中級〜高級機種ではデジタル3波チューナーを2系統以上を搭載したものが珍しくない。2011年のアナログ停波に向け、アナログチューナーを省いた製品も2008年から登場してきた。 登場当初は大画面サイズを中心にチューナーユニットが外付けの機種が多く見受けられた(ユニット部とディスプレイ部は専用ケーブルで接続していた)が、2007年までにはほぼ全ての製品がチューナー一体型となっていた。
薄型テレビが実際に普及する以前は「壁掛けテレビ」のイメージが強かった(20世紀における21世紀像を参照)。しかし様々な要因により実際には壁掛けの普及は進んでいない。 一般家庭でも「壁掛け」は不可能ではないが、重量の点がネックとなって高いコストがかかる場合が多い。32型で20kg前後、50型以上では 60kgを超える薄型テレビを壁に掛ける場合、多くの日本の一般住宅で使用されている石膏ボード等の壁材では強度が足りない。そのため大がかりな取り付け・補強工事が必要になる。またテレビの位置を自由に移動できなくなるなどの理由もあり、これまでと同じくテレビスタンドに設置する場合がほとんどである。 しかし、2007年から「超薄型」と呼ばれる奥行きがさらに薄く軽量な製品が登場し始めた。これらはチューナーを別ユニットにしたり、配線の必要がない無線ユニットを用意するなどで壁掛けを前提としたデザインとなっている。
ブラウン管テレビにもハイビジョン解像度をもつ製品(ハイビジョンブラウン管テレビ)が存在するが、あくまでも高級品であった。ハイビジョン解像度がより一般的になったのは薄型テレビの世代からである。デジタルハイビジョン放送の普及とテレビの低価格化が主な要因となっている。 液晶パネル製造に強みがあるシャープが2005年頃からフルハイビジョン(1920×1080)パネルに力を入れ、他社の液晶テレビも追随して低価格化・より小さいサイズへのフルHDパネル搭載が進んだ。画素の微細さを上げると輝度など他の性能に影響が出る場合があるがフルHDという非常に分かりやすいキーワードは消費者に高画質を訴える効果が大きかったと思われ、プラズマに対する液晶のシェア拡大の一因になったと考えられる。 パネルの高解像度化が遅れたプラズマ陣営は、50インチ以下ではフルHDは不要[3]と訴えるなど巻き返しを図ったが大きな効果はなかった。2007年以降になるとプラズマでもフルHDパネルが普及しつつある。
メーカー各社はブラウン管テレビに比べて一回り・二回り大きなサイズの薄型テレビへの買い替えを推奨している(例えばブラウン管のワイドの32インチなら薄型テレビの42インチが目安)。その根拠としては設置スペースや、4:3と16:9の縦横比の違いから生じる見え方の差(視野角など)がある。 低価格化にしたがって40V型以上の大画面テレビの販売比率が年々上がっているが、依然として最も売れているのは30〜40V型の製品である。また薄型テレビの普及率が上がった2007年前後から、「2台目需要」を意識した30V型以下の液晶テレビにも各社が力を入れるようになった。
同じサイズで比較すると薄型テレビはブラウン管テレビより消費電力が低いが、画面サイズが大きくなる傾向があるためブラウン管テレビの世代に比べて省エネルギーが進んでいるとは一概に言えない。ただ近年は環境問題への関心が高まったこともあり、より消費電力が低い製品の開発や有害物質の不使用、リサイクルへの取り組みなどをアピールするメーカーが多い。
薄型テレビの性能を決定付けるものはディスプレイパネル自体の性能に加え、映像を処理する集積回路の性能が大きく関わっている。入力された映像をより美しく調整し、パネルの弱点を補ったり能力を引き出す働きを担っている。デジタル放送で発生する圧縮由来のノイズを軽減し、圧縮で失われた情報を復元したり色・輝度などの表現をより豊かにする機能などがある。 大手メーカーが独自の高画質化機構に力を入れており東芝の「メタブレイン」、パナソニックの「PEAKS」、ソニーの「ブラビアエンジン」、日本ビクターの「GENESSA」などがよく知られている。メーカー・機種により個性がある。
HDMI端子が一般化した2006年以降、薄型テレビとDVDレコーダー等をHDMI接続で連携させ単一のリモコンで操作できるリンク機能が登場した。同じメーカーのテレビとレコーダーが売れやすくなる囲い込み効果により、特にパナソニックとシャープはDVDレコーダーのシェアを大幅に引き上げブランド力の強化に成功した。
薄型テレビ自体にハードディスクドライブを搭載し、レコーダーを接続しなくてもデジタル放送の録画ができる製品がある。特に東芝や日立が力を入れている。レコーダーよりも手軽にタイムシフト視聴などができ、光学ディスクへのダビングを必要と感じない消費者に好まれている。またシャープは2008年にBDレコーダー内蔵液晶テレビを発売した。
デジタルチューナーには双方向通信や有料番組購入のためにLAN接続機能がある。これを利用してインターネット接続も可能だがテレビを使ったWebページ閲覧はパソコン・携帯電話ほど浸透しておらず、テレビに特化したポータルサイトが運営されている。2007年以降の大手メーカー製薄型テレビはアクトビラに対応した製品が多い。また2008年頃からYouTube等の動画共有サービスの動画を直接表示できる製品が登場した。2009年4月にはテレビ版Yahoo! JAPANが開始された。
ブランドは日本メーカーではほぼブラウン管テレビから一新されているが、一部メーカーでは初期はブラウン管テレビ時代のブランドを薄型テレビでも継承していた。また、薄型テレビそのものだけにとどまらず自社のDVDレコーダーやワンセグ対応携帯電話などに用いられるケースも出ている。
テレビ画面に、液晶を用いたディスプレイ(液晶ディスプレイ、略称『LCD』)を使用したテレビである。モノクロ表示時代から続いた液晶表示器の普及と高演色性と充分な動画性能を備えた大画面製品の製造技術の確立によって薄型テレビの主要な地位を得ている。 1982 年、エプソンが世界で初めて液晶ディスプレイ(反射型1.2型)を使用したテレビ付きデジタル時計を販売。その後1984 年には、TFTカラー液晶(透過型2.1型)を採用したポケットテレビ(商品名:テレビアン)を販売した。最初に比較的大型の民生用商品の市場投入をしたのはシャープであり、当時の商品「ウィンドウ」は1995年の日経優秀製品・サービス賞で産業新聞・最優秀賞に選ばれている[4]。 日本では多くのメーカーが発売し競争が激しくなっている。2007年には世界シェア1位の韓国のサムスン電子も日本市場から撤退した。2009年現在ではシャープ、ソニー、パナソニックの上位3社で9割近くのシェアを占めている。